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読んだ本のすべての感想を書くのは難しいので、こころに引っかかった作品だけはと思っている。
読了後、直感的にこの作品の感想を書くのは面倒だしイヤだと思った。 でも、そういう作品をスルーするのがいちばん良くないとわたしは勝手に自分のなかで決めている。(知らんがな) 五つの、というか5人の視点で描かれた救われない日常。 訳あり主婦にナンパされ、コスプレで不倫セックスする高校生の齋藤くん。 の話が出だしです。 この一つ目の終わり方が納得いかなかったのでやめようかと思ったけど、それから先が肝だった。 もう終わってしまいたいような人生もやっぱり終わらない。 自分で選び取ったわけじゃない軌道のうえで、幼すぎて修復もできなければ、救われるための何かを求めることもできない。 傷つけたくて傷つけているわけでもなく、剥き出しの無防備な心が本能的に自分を駆り立てている。 理不尽なことがらというものには理不尽な言い訳がついてまわる。 黄金律なんて機能しない、価値観のちぐはぐな世界で、 我々はいったい何をわかりあえるというのだろう? それでも愚かな行為を愚かだと、我々は断罪せねばならない。 尊い行為を尊いこととして、きちんと敬わなければならない。 齋藤くんのお母さんが「希望」です。 彼女のたくましさをきちんと感じることでこの物語は救われる。
by yucco_mini
| 2011-11-15 14:07
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