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カテゴリ:books( 65 )
ひそやかな花園 / 角田光代 著
a0020009_11313036.jpg「八日目の蝉」「森に眠る魚」に続く今作。
角田さんの近著はいずれも重い主題を抱えている。

幼少期、夏になるとどこからか集まった7組の親子で過ごした、別荘でのきらめくサマーキャンプの記憶。
理由が分からないまま突然中止されたそのイベント。
それがなにか重大な秘密を持っていると感じている7人の男女の繊細な心理描写。
不自然に隠蔽される真実。
それぞれのかたちで謎は解き明かされ、リセットされた自己存在の意味を7人がさまざまに模索する。

親子の関係。家族のありかた。過ぎた記憶の価値。
喪失を再び手繰り寄せる勇気。そして、強い言葉。

/理解できないという落胆の先に、もしかしたら、それよりはるかに強い何かがあるのではないか。だから私たちは、向き合い、話そうとするのではないか/
/「.....なにかをはじめることでできるのは、結果じゃなくて世界なの。いいことだけでできた世界も、悪いことだけでできた世界もないと思わない?」/
 (本文より)


紗有美という女性のことばがプロローグとエピローグになっている。
彼女はこの7人のなかで誰もが最も嫌悪感を抱くであろう性質を持つ人物。
でもどうして彼女のことばがこの物語の序と幕を飾るのだろう?

彼女のキャラクターは、何も特別なものではない。
じつはすべての人間の中に潜み誰もが忌み嫌う自分自身の欠片なんだろう。
だからその幼さに目を背けたいとおもいながらも、突き放すことができないのだろう。
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by yucco_mini | 2010-10-18 12:25 | books
風味絶佳 / 山田詠美 著
a0020009_1322418.jpg山田詠美さんの本を読むのは久し振り。
高校生の頃にちょっと流行って(自分の中で)何冊か読んで以来だと思う。
物語は忘れても文体って覚えているもんなんだな。と。
匂いみたいな空気の密度みたいなのが濃い感じ。

風味絶佳というのは昔からある黄色い森永キャラメルの箱に側面に書いてある言葉。
そのタイトル通り、甘い恋愛にまつわるお話が6篇収められている。

わたしは「海の庭」と「風味絶佳」が好きかな。
焼きつくように風景やその場面の色が浮かんでくる話が好き。

残念ながら、こういう恋愛の甘い感じはもうないな。自分の中には。
そして、不思議なことにそんなに欲しいとも思わない。
でも気持ちが豊かに膨らんでくるような本。
読書っていいよね 笑
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by yucco_mini | 2010-09-14 13:39 | books
安野モヨコ 著 (英訳:リチャード.バーガー)/ 「オチビサン 3巻」(2010)
a0020009_10565768.jpg「オチビサン」ファンの皆様。3巻ですよー。
もうそんな季節です。(いつも8月末発売)
3巻は色彩がいっそうきれいになった気がする。
草花テーマが多いからかな?

「シュガシュガルーン」(少女マンガ)で確信したんだけど、安野さんの色彩感覚がたまらなく好き。
色の組み合わせとか使い方、 何気にいろいろ参考にしている。

お話も相変わらず素敵で、ちょっと哲学的なオチビサンが自分とシンクロして愛おしすぎる。

最近、7歳の娘もオチビサンに夢中。
漢字にフリガナふってないからどこまで読めてるのか謎だけど。
でもよく笑い転げている・・・なぜそんなに爆笑?
彼女もオチビサンみたいな感覚が備わった子になってほしい。
いまのところかなりいけてる気がする。
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by yucco_mini | 2010-09-06 11:12 | books
きらきらひかる / 江國 香織 著
a0020009_13113535.jpg読まず嫌いだった江國さんの本。
別に読みたくなかったんだけど、図書館や本屋にいくたびにどうしても目につくので 笑。

アル中でうつ病の主人公とホモの夫、その愛人の青年。
奇妙な三角関係を結びつける純粋な愛情。

一般的にはありえない設定のようだけど、わたし個人的にはありえるかな。



子どもを産む産まない産めない云々の問題は確かにある。
だから結婚はどうなのかとも思うけど、愛情ってそういうのも超える。軽々と超える。
友情と恋愛を天秤にかけるのがおかしいように、ひとをひととして深く愛することに性別はどこまで介入するのだろう、という話。

難しいけど。

恋人が自分の前に付き合っていた女性をすごく大切に思っていて、別れた今も電話していろんな相談をし合う。恋人にもその女性の話をよくするし、その女性の誕生日プレゼントを恋人と一緒に選びに行ったりする。

というような男とつきあっていたことが、わたしはある。
ので。
わたしはなんとなくありえる。
まぁ、それとはぜんぜん違うけど。
あってもおかしくないし、許容できるかもしれない。
基本的に同性愛者のひとって恋愛含めすごく純粋、だと個人的に日頃から思っているし。

だからこのお話はとても切ないし、きれいだと思うのである。

もうちょっと江國作品を読んでみようという気になりました。
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by yucco_mini | 2010-09-03 13:44 | books
東京島 / 桐野夏生 著
a0020009_9314745.jpg「メタボラ」が面白かったので読んでみた。
無人島に主人公の清子夫妻が漂着したあと、そこに日本の若者が23人漂着する。さらに中国人のグループも漂着。
でも女は清子ただ一人。
何もない島で生きていく為の数々のサバイバル劇。
集団心理や変化していく人間関係にまつわる欲と駆け引き。
女は男よりも遥かに強くてしたたかだけど欲に生きると醜いね。
でもあまりにも「愛」がなさ過ぎて。心が動かされる小説ではないかも。
「メタボラ」のほうがぜんぜんよかったー。

映画化され、先週公開されたみたい・・・読み終わってから知った。
ちょっとどんな映像になっているのか観てみたい。
小説からは汚い画しか浮ばないんだけど・・・
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by yucco_mini | 2010-09-01 09:49 | books
メタボラ / 桐野夏生 著
a0020009_2336489.jpg「破壊されつくした僕たちは、“自分殺し”の旅に出る」

衝撃的な過去とその記憶を失った“僕”が最初に出会ったのは過去を捨てて新しい自分を生きようとする昭光。
昭光が与えてくれた新しい名前“ギンジ”の人生を“僕”はいまから行きるのだ。
ぎこちなく、でも確かに築かれていく2人の友情。
蘇る過去。本当の名前。あんなにも取り戻したかったはずなのにその影に苦しむギンジ。



たぶん、彼らは何も選べなかった。
純粋であるがゆえ搾取され続ける彼らの未来。
どこにも着地できない若者たちにどこか共鳴しながら、それでも何もできないと瞬時に悟ってしまうことへの苛立ち。
細かく読んでいけばいろんな問題が提起されているし、いろんなテーマが凝縮されている。

でも結局、胸を打つのはすごくシンプルなこと。
名前なんて関係ないよね。過去なんて関係ない。
たぶんこれはギンジくんの純粋な愛に関する物語。
個人的には、すごくいい終わり方をしたなと思う。
ほんとうに、ものすごく、哀しいけど。


とてもおもしろかったです。舞台は沖縄。
沖縄に行ったことがあるとなお良いかな。
沖縄の言葉やいろんな風景をイメージできるほうがきっと物語りにより近付ける気がする。
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by yucco_mini | 2010-08-17 00:33 | books
ひとり日和 / 青山七恵 著
a0020009_22551393.jpg内容は退屈なのに読むことには退屈しない不思議な作品。
遠い親戚である老婆がひとりで暮らす線路沿いの古い民家に居候することになった21歳の女の子の日常。
この21歳に共感するかしないかで物語が響いてくるかそうでないかが分かれてしまうような気がする。
わたしはあんまり共感しなかったのでそんなにぐっと響いてくるような言葉や場面が残ってはいないのだけれど、面白くないとは思わない。
どうしてでしょう?誰か説明してください。

ただ、おばあさんの言葉には、ところどころ思いがけなく切り込まれるような気持ちにになった。
ちょっとバランスが悪いのが心地いい、というような。
藤田君とよりを戻して欲しかったなぁ。
理由は個人的に好みだから、ってただそれだけだけど 笑。
2007年の芥川賞受賞作品です。
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by yucco_mini | 2010-08-03 23:07 | books
ヘヴン / 川上未映子 著
a0020009_2323658.jpg壮絶な苛めを日常的に受けている14歳の男女が秘密に育む不思議な絆とその儚さ。
その忌々しい日常を意識的に受け入れることで得る神聖なる存在価値。
苛めを通して、その根源や人の弱さや強さ、善悪までを問う哲学書のような小説。

この小説に書かれているようなことがリアルならばそれは本当に悲しむべきことだろう。
苛められている男子がはじめて苛める側の一人と対話するくだりはこの物語の山場である。
が、同時にわたしが最もイライラした場面だ。
できるかぎりの思考を重ねて懸命に生きながら蓄積してきた言葉を吐く主人公と、すべての感情や想像力を無視しながらニヒリスティックな哲学を持つ苛めっ子との会話。
どんなことをしても分かり合えることなんてないひととひとの絶望的で現実的なやりとり。
本来非日常的であるべきものが日常にすり替わる恐ろしい瞬間。
それとともにやってくる善悪の混沌。

光り輝くシーンが鮮やかに描かれる最後。
でも物語はなにも解決しない。
読者は苦しさを持ったまま何かを考えなくてはならないだろう。


すべてを救うのは想像力だ。わたしはいつもそう信じている。
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by yucco_mini | 2010-07-28 23:28 | books
くいいじ (上巻・下巻) \ 安野モヨコ 著
a0020009_12172516.jpg安野モヨコによる食に関する徒然。
わたしが安野さんの文章を読むのが好きなのは、きっと年齢も近いし感覚や好みも似ているので仲の良い友達と話しているような気分になるからだろう。
彼女の頭の回転の速さとセンスのいいジョークには感心するけど、全体的に「ずぼら」な感じにとても親近感。

a0020009_121854100.jpgそういえば最近わたしも、口にするものたちが自分の身体にどれだけダイレクトに影響してくるかを実感する。
外食とか加工品を食す機会が増えるとたちまち肌の調子が悪くなる。
地味だけど、自分が買ってきた食材で自分でできる普通のシンプルな料理を食べる生活ペースに戻るとちゃんと回復する。(飽きるけどね)
彼女が言うように、自分の身体の中にある悪いものを受けとめるためのいれものの許容量がMAXなんだろうな。代謝の問題もあるだろうし。
あと、薬味はほんとうに大事だよ。薬味LOVE。
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by yucco_mini | 2010-06-16 12:21 | books
だれかのことを強く思ってみたかった / 角田光代 佐内正史
a0020009_23231422.jpg作家、角田光代と写真家、佐内正史が切り取る東京。
この本を読んでわたしはいろんなことを思い出した。
ああそうだ。こんなふうに写真をとっているときがあった。こんなふうに都会を感じて生きているときがあった。

佐内氏の写真でわたしが真っ先に思い出すのは、
「a girl like you 君になりたい」という、雑誌『relax』で連載されていた若いモデルさんや女優さんを撮った写真のシリーズ。(後に未掲載カットを集め同タイトルで写真集化されている)
当時わたしは『relax』を買っていて、実は毎号そのページがいちばん好きだった。(連載が終わったとき本当にがっかりした)
まだどこかあどけない、でもかなり美しい女の子たちが日常の街角に立つ。
まぶしいものと薄暗いもの。古くくたびれた空間にある新しくてつるりとした存在。無垢なものを抱える薄汚れた風景。だけどそこにある違和感はけっして居心地の悪いものではなく、どこかノスタルジックでわたしを落ち着かせた。
/陽に光を反射している小さな海がつくりものであるように、今ここにある世界がまるごと、銀色の高層ビルも足元の道路も薄暗い空も、点滅する信号機も空のなかの太陽も、それから、それらを前にした私自身までもが、精巧で奥行きのない、裏からみたらからっぽの、ニセモノであるような気がしてくる。
と、そんな気がした途端体が軽くなる。自分がだれでもないと知るような不思議な心地よさ。/
/この世界はどのくらいの強度でなりたっているんだろう?
私たちはどのくらいの強度でそこに立っているんだろう?/  「ファインダー」
/私自身がいったい何を所有しているのかといえば、
見たものではなくて見なかったものであったりする。/  「見なかった記憶」



だれかのことを強く思ってみたかったのに、その相手を見つけられないでいた頃の自分を思い出した。
そのときに目を向けていたものが後の自分に大きな影響を与えている。
そのときのわたしは18歳で、探るように手を伸ばしていたものは哲学と音楽だった。

いい本だと思う。
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by yucco_mini | 2010-06-11 00:25 | books