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「 八日目の蝉 」 / 角田光代 (著)  
a0020009_233391.jpgわたしは不倫をしたことがない。残念ながら。
でもかつてわたしの近くには不倫をしている親しい友人が何人かいた。
独身の彼女たちはそろって頭がよかったし、家庭を持つ相手の男の愚痴はほとんどこぼさなかった。
責任逃れをしようともしなかったけど、たぶん深く深く傷ついていたと思う。その感覚が麻痺して逆に笑い飛ばせるくらいに。

この物語は1ページ目からいきなり、不倫相手に裏切られ子供が産めなくなってしまった女が相手の男と妻の間にできた赤ん坊を誘拐する。
正体不明の老女の家、男に裏切られた女ばかりが集う宗教団体の施設、豊かな自然に恵まれた瀬戸内の小さな島。女は逃亡を重ねながら赤ん坊を育てる。
ついに捕らえられた女と"娘"の突然の別れ。「本当の家族」のもとに帰った娘の運命。

女とは愚かな生き物だろうか。感情的で弱くて向こう見ずで。馬鹿な生き物なのだろうか。

大事な選択を最後にするのは女だ。見せかけは男が選び取ってるようにみえても。
男女間において、弱い男はいつも最後の選択を、それが運命を左右するような大事なものであればあるほど、その選択を女に委ねる。

わたしの友人たちは、時間はかかったが最後はきちんと不倫を清算した。
どこからどう見ても愚かで弱いのは男だった。
申し訳ないくらいに、どう贔屓目にみてもかっこわるいのは男の方だった。


さて、 こんなに長々と書いたのに申し訳ないが、この小説の本題はたぶん不倫ではなくて子供と母親の関係である。
正直、切ない。
でも愛のある風景というのは絶対に消えない輝きがある。
どんなに時間がたっても瞬時に再生されるような強烈な鮮やかさがある。
本当に幸福な瞬間というのはどんな悲しい過去よりも強い力を持っている。

わたしは女は思い出だけでは生きられないと思っていた。
子供を産むまでは。
/ 「わたし、自分が持っていないものを数えて過ごすのはもういやなの」 /

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by yucco_mini | 2009-09-29 00:06 | books
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