wandering landscape
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「 木洩れ日に泳ぐ魚 」 / 恩田 陸 (著)  
a0020009_1338542.jpg別れることを決めた男女。引っ越し前夜の部屋のなかで、どうしてもこの夜の間に明らかにしなければいけない過去の出来事。
互いに隠し続けてきた疑念、思惑。
ふとしたきっかけで次々と現れる失っていた記憶。
思いがけなく浮かびあがる想定外の真実。

恩田さんの本を読むのも初めて。
装丁とタイトルに惹かれて手に取った。
ミステリー小説みたいに、なぞめいていてどきどきする。




/朝は - いや、太陽は何と偉大なのだろう。そして、なんと残酷なのだろう。その圧倒的な明るさにおいて、すべてを塗り替えてしまう。 
....そのことに僕は深く絶望していた。けれど、この絶望でさえ、朝が来ればもうどこにもなくなってしまうことを僕はよく知っていた。/

/朝が来る。
まぶたを閉じていても朝はすぐそこまで来ている。わたしたちの逡巡に、迷いに、決められない何かに引導を渡す。朝の光は時間切れの合図だ。/ 
(本文より)


夜は記憶を近くにたぐり寄せるのに最も適した時間なのかもしれない。
そして、朝は記憶を遠い過去にするための儀式のように訪れる。太陽とともに。

ああ、でも。なによりも。
過去は、記憶するひとのこころのなかで起こるさまざまな"取引"でこんなにも遠くなるのだ。
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by yucco_mini | 2009-06-18 14:11 | books
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