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母方の祖母が生前、わたしがまだ大学生ぐらいの頃に指輪をくれた。 母の実家は大阪市内の飲食店で、まだ母が小さかった頃、金に困った常連客に祖母が金を貸したとき、そのひとが置いていったものだと後に母から聞いた。 案の定、そのお客さんはそれっきりでお金は戻らなかったが指輪が残り、それを祖母はいつも付けていた。 それをある日、お店のフロアの横にある居間のコタツで2人で向かい合ってるとき、突然指からそっと外しわたしに手渡したのである。 今思えば形見分けだったのだと思う。 母はわたしの実家である大阪の郊外からずっとそのお店に通って働いていた。 祖母が突然亡くなるまで身の回りの世話をほとんどしていたのも母だった。 わたしは小さいときから学校がないときはいつも母とお店に行っていたし、祖母と2人で宝塚の遊園地や藤山寛美(たぶん祖母が好きだったのだろう)の舞台を見に行ったり、 少し大きくなるとたまに店を手伝ったりしていた。 今思えば、本当にとてもかわいがってもらっていた。 結婚するとき、わたしはこの指輪の石を使い、台(立て爪のリング)だけ彼に作り直してもらって婚約指輪にした。 この石がダイヤなのかガラスなのか実はそのときもわからなかった。 心斎橋にあったその宝石店も調べずに作り直したのである。(オーダー表の明細部分は「無色透明の石」となっていた) ただ、わたしは何となく自分で勝手にダイヤだと決めていた。 このたび、その石をより身近にお守りのように持ちたいと思い、指輪からネックレスにリフォーム。 そこでやっと正体がわかりました。 ジュエリーリフォーム店のお姉さんが片手におさまるくらいの小さな黒い機械を石にあてると、 ピピッと音が鳴り小さなランプが点滅する。 「間違いなくダイヤです。」 わたしはたぶん、もうどっちでも良かったと思う。 たぶん祖母も。 祖母はダイヤだと思っていたのかもしれないけど調べてもらおうとはしなかった。 たぶんたくさんのお金を貸したんだろうなぁ。 おばあちゃん、ダイヤモンドだったよ。
by yucco_mini
| 2009-01-23 14:32
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