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「 トリップ 」 / 角田光代 (著)  
a0020009_2258753.jpg自分でないものについて考えるとしたら、それはほとんど想像だ。
たとえば、もうすぐ4歳になるやんちゃな女の子をもつ専業主婦で、旦那は仕事人間であまり家に帰らない30代後半の女について。あなたはどんなふうに考える?
やり甲斐のある仕事をして日々の充実を感じてるひとからみれば、そう、すごくつまらない人生を送ってる女かもしれない。
日々の生活のために自分の時間を捨てて労働する者からみれば、三食昼寝付きの優雅な有閑マダムかも知れない。
ええ歳こいてロックとかファッションとかロディとかボビーとか言ってるちょっと痛い女(笑)かもしれない。
何を軸にして考えるかによってずいぶん変わってくるよね。
仕事、学歴、友人関係、趣味、見た目、家族構成・・・。情報の量によっても変わってくる。

この作品はわたしにとってすごく興味深いものだった。
正直、とても重要だなと思った。

短編集であるが、すべての物語が誰かで繋がってる。小さな街のできごとや風景。
ファンタジックでリアル。せつなくて哀しくて、でも穏やかで淡々としていて。

何がリアルなんだろう?誰にとって、どんな思いや状況がリアルなんだろう。
全部がファンタジーのようで、でも全部がリアルなんだと思う。
それを判断できるのはその人生を生きる者でしかない。
しかし幻想か現実かを選ぶことなんてできない。たとえその人生を選べるとしても。
この作品の中には幻想と現実のあいだをふらふらと彷徨うひとが出てくるが、
それがいちばんリアルだったりする。

毎日毎日、時間に追われているような生活をしているひとが読むといいかも。
知らず知らずのうちにひとつの世界の中に自分を閉じこめて過ごしているようなひとが、
この作品の中の、この街にトリップしてみるべきだと思う。
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by yucco_mini | 2007-05-28 23:54 | books
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