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「The Catcher in the Rye」/J.D.サリンジャー(著) 村上春樹(訳)  
a0020009_016196.jpgこの物語を読んだのは3回目。過去2回はもちろん野崎孝さん訳。
1回目はたしか10代後半で2回目は20代前半。
思い入れもないし、別に好きじゃなかった。だいたいあんまり覚えてなかったし。
そして今回。すごくおもしろかった。好きな本になった。
でも、それは村上春樹さんの訳で読んだからというわけじゃないと思う。
村上さん特有の、情景を想い浮かべながら読むこちらの意志に沿うような、ぴったりとした空気感や雰囲気を纏う言いまわしは、読み進む過程をスムーズにしていたとは思うが。
野崎さんのほうでその後にぱらぱらと読んでみても思いは変わらなかった。
タイミング、としか言いようがない。
そしてそのタイミングは人それぞれだと思う。

若い頃に読んだらおもしろかったんだろうとか、歳を取ってから読んでも影響されないとか。
そういう評論のしかたで語られる事が多い物語だけれど。
それは違う、と、わたしは思った。
ホールデンの魅力というのは時間軸を超えた別のところにある。
共感するとかしないとかの問題でもないと思う。
ぜんぜん魅力を感じないならば、それはきっと先に何かを期待していたか、
ある程度まえもって、無意識のうちにこの物語の価値みたいなモノを自分の中に持ったまま
読んでしまっているのではないかと思う。
わたしの最初の2回はたぶんそうだったのだろう。
それか、おもしろいと思った今のわたしになにか問題でも?

ホールデンがつく悪態のうち半分は、大人たちや、つまらない世間の価値観に対してだけれど、もう半分はホールデン・コールフィールド自身に対してのもの。(いや、ほとんどかも)
頭の切れる人間というのはたいてい、生きていくいろんな場面で自分を守ったり楽にするための"ずるがしこさ"も備えているのだが。
もう救いようがないくらい、ぐるぐるぐるぐる自分の中でもがくホールデンのその姿は、少年期の純粋さがもたらす何物でもなくて。
それはやっぱりいつの時代もとても眩しい感じで、恋しくなったりするものなのだ。
・・・オレって、乙女~。
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by yucco_mini | 2006-03-16 00:16 | books
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