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旅という非日常の生活に身を投じてから浮き彫りになった”もうひとりの自分"。その薄っぺらいアイデンティティをぬぐい去れないまま旅を引きずり続ける青年。
旅から戻って行く当てのない人々が生活するゲストハウスで、終わったはずの旅を、その薄っぺらい自分を終わらせようとする物語。 現実になさそうで、でも、よくありそうなお話。この青年のような若者は世の中に溢れてるんだろうなぁ。 というよりも、かたちはどうであれ、誰もが通り過ぎていく場所かもしれない。 自分という海の中でもがく。社会とは切り離されたまま。 ざらついた感触とものすごく後味の悪い日常。ぎゅっと拳を握って、えいっと捨て去って。 やっと、ほんとうにつき合っていきたい自分と向き合う瞬間。 それはもう事件なんだね。こんな不確かな世の中では。 そして、それをずっとできないでいる人はいっぱいいるんだ。
by yucco_mini
| 2006-02-01 01:31
| books
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