wandering landscape
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わたしを離さないで / カズオ イシグロ
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「提供者」と呼ばれる人々。同じく「提供者」として育ってきたキャシーが「提供者」となって人生を終えようとする友人たちの世話をする。
そして思い起こす日々。
淡くやさしい追憶が残酷な運命を背景にしたものであると気づくのはずいぶん読み進んでから。
彼らの背景にあるらしい秘密は最初は小さな染みのようだったのに。

「提供者」が何を意味するのか。
そして「提供者」である彼らがそれでもなお切実に、誠実に求め続ける人生の「価値」と「意味」。

確かにSF作品であるはずなのに、「作り物」を認識するときのかすかな客観性が読者の中に顕れない。
緻密に豊かに、しかしながら抑揚された語りと追憶のもつ静謐さが、彼らの背景にある恐ろしい境遇に取り乱すことを許さない。
読み終わってしばらくはこの作品に対する言葉を失うだろう。
わたしは結構いまも失い気味です。
強く心を打たれました。

ずっと気になっていた本。やっと出会ったなという感じ。
絶賛上映中ですが、じつは映画化を知らずに図書館に予約していました。
その他のイシグロ作品もこれから読んでみたいです。
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by yucco_mini | 2011-04-15 12:45 | books
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