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日常に潜む闇というよりも。闇の中の微かな光というべきか。
深夜という一番身近な非日常で繰り広げられるもはや日常茶飯事。 いまや都会の深夜は太陽の光を失ったくらいでは何も変わらない。しかし世界を受け止める我々の感覚は非日常に身を置くときのあの独特なピリピリとしたそれに変わる。 それを私も知っている。たぶん誰もが知っているだろう。この感覚に浸ることの快感を未熟で無謀な時期の魂は求める。実際のところ日常にだってなにも見つけられないでいる苛立ちから目をそらすために。 日常の生活にぬくもりを得られないマリが闇に出てそこで見つけるもの。非情な世界にある情、冷たい世界にあるぬくもり。 だけどそれは決して闇からやって来たものではないことを知っていくのだ。 エリが閉じこめられている真っ白な非日常の箱はマリの心のなかにあったのかもしれない。 そして。「私たち」という三人称で語られるこの物語の異質さは、もう最初から、読む者をここに閉じこめてしまうのだ。
by yucco_mini
| 2004-10-15 00:28
| books
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