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角田さん流のおとなのための童話。
5話収められてるが短編集じゃない。ひとりの女性の人生の夢のようでいてとても鮮明な瞬間を切り取った物語。 松尾たいこさんのイラストをみて角田さんがイメージして書かれたらしいが、角田さんがあとがきで触れているように、松尾さんの絵をみて最初に降りてきた数々のイメージ「寒くてあたたかくて、冷酷でやさしくて、ひりつくほど孤独で、眠たくなるほど満たされている」・・・そんな感覚が見事に再現されている物語だと思う。 わたしは2話目の「キスとミケ、それから海のこと」と最後の「なくしたものたちのこと」が好き。 喪失フェチなんですよ・・・(は?) ちゃんと繋がってるのがすごい。 輪廻転生を思わせる壮大で果てしないテーマが、ひとりひとりのちいさな人生の中にちゃんと入っているということを、どこか懐かしい童話のように、魔法にかけられたように示してくれる。 読む者の持つ想像力がこの物語の魅力を左右するであることは確か。 この物語がつまらなかったら、人生きっと何かが足りないのでは? 図書館で借りて読んだんだけど、絵本のように持っておきたいなと思う一冊です。
by yucco_mini
| 2010-11-17 10:45
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