wandering landscape
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ひそやかな花園 / 角田光代 著
a0020009_11313036.jpg「八日目の蝉」「森に眠る魚」に続く今作。
角田さんの近著はいずれも重い主題を抱えている。

幼少期、夏になるとどこからか集まった7組の親子で過ごした、別荘でのきらめくサマーキャンプの記憶。
理由が分からないまま突然中止されたそのイベント。
それがなにか重大な秘密を持っていると感じている7人の男女の繊細な心理描写。
不自然に隠蔽される真実。
それぞれのかたちで謎は解き明かされ、リセットされた自己存在の意味を7人がさまざまに模索する。

親子の関係。家族のありかた。過ぎた記憶の価値。
喪失を再び手繰り寄せる勇気。そして、強い言葉。

/理解できないという落胆の先に、もしかしたら、それよりはるかに強い何かがあるのではないか。だから私たちは、向き合い、話そうとするのではないか/
/「.....なにかをはじめることでできるのは、結果じゃなくて世界なの。いいことだけでできた世界も、悪いことだけでできた世界もないと思わない?」/
 (本文より)


紗有美という女性のことばがプロローグとエピローグになっている。
彼女はこの7人のなかで誰もが最も嫌悪感を抱くであろう性質を持つ人物。
でもどうして彼女のことばがこの物語の序と幕を飾るのだろう?

彼女のキャラクターは、何も特別なものではない。
じつはすべての人間の中に潜み誰もが忌み嫌う自分自身の欠片なんだろう。
だからその幼さに目を背けたいとおもいながらも、突き放すことができないのだろう。
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by yucco_mini | 2010-10-18 12:25 | books
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