wandering landscape
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31
だれかのことを強く思ってみたかった / 角田光代 佐内正史
a0020009_23231422.jpg作家、角田光代と写真家、佐内正史が切り取る東京。
この本を読んでわたしはいろんなことを思い出した。
ああそうだ。こんなふうに写真をとっているときがあった。こんなふうに都会を感じて生きているときがあった。

佐内氏の写真でわたしが真っ先に思い出すのは、
「a girl like you 君になりたい」という、雑誌『relax』で連載されていた若いモデルさんや女優さんを撮った写真のシリーズ。(後に未掲載カットを集め同タイトルで写真集化されている)
当時わたしは『relax』を買っていて、実は毎号そのページがいちばん好きだった。(連載が終わったとき本当にがっかりした)
まだどこかあどけない、でもかなり美しい女の子たちが日常の街角に立つ。
まぶしいものと薄暗いもの。古くくたびれた空間にある新しくてつるりとした存在。無垢なものを抱える薄汚れた風景。だけどそこにある違和感はけっして居心地の悪いものではなく、どこかノスタルジックでわたしを落ち着かせた。
/陽に光を反射している小さな海がつくりものであるように、今ここにある世界がまるごと、銀色の高層ビルも足元の道路も薄暗い空も、点滅する信号機も空のなかの太陽も、それから、それらを前にした私自身までもが、精巧で奥行きのない、裏からみたらからっぽの、ニセモノであるような気がしてくる。
と、そんな気がした途端体が軽くなる。自分がだれでもないと知るような不思議な心地よさ。/
/この世界はどのくらいの強度でなりたっているんだろう?
私たちはどのくらいの強度でそこに立っているんだろう?/  「ファインダー」
/私自身がいったい何を所有しているのかといえば、
見たものではなくて見なかったものであったりする。/  「見なかった記憶」



だれかのことを強く思ってみたかったのに、その相手を見つけられないでいた頃の自分を思い出した。
そのときに目を向けていたものが後の自分に大きな影響を与えている。
そのときのわたしは18歳で、探るように手を伸ばしていたものは哲学と音楽だった。

いい本だと思う。
[PR]
by yucco_mini | 2010-06-11 00:25 | books
<< くいいじ (上巻・下巻) \ ... bag >>